オンラインゲーム殺人事件再びっ3章_1

週末ゲリライベント


今日は早めの食事を済ませて20時前に全員スタンバイしてる。
そして20時にログイン。
一気にイルヴィス城へと駆け出した。


事の起こりは昨日…最近はギルベルトだけでなく、アントーニョまで真剣に勉強モード全開で手持無沙汰なため、いつものようにリビングでネットサーフィンにいそしんでいたフランがついでに公式もチェックすると、イベント情報にニュー情報の表示。

おお~クリック、クリックと、当然ながらのぞいてみる


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☆☆ 第一回イルヴィス王国主催御前試合 ☆☆

イルヴィス国民の皆様こんにちはっ。
今回は週末ゲリライベントだっ!
明日土曜日21時よりイルヴィス城にて王国主催御前試合を行います。
受付は20時から20時50分まで。
21時より予選を始めます。

試合は1対1の個人戦。
Lv別にLv5~10、11~15、16以上の3コース。
装備は各自持ち込み。ジョブは自由。
勝敗はどちらかのHPが0、戦闘不能になった時点で決します。
※ なお、この時に限り戦闘不能になってもデスペナルティで経験値が減る事はありません。

各コース優勝者には豪華賞品を進呈。
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まあ…それだけならふ~ん、面白そうだねぇ…で終わったわけだが…


「あ、これ可愛いな♪」
フランと同じくのんびり組のアーサーがフランのPCを覗き込み、豪華賞品の中の一つ、エンジェルウィングと言う髪飾りを何の気なしに指し示した事で、事情は変わった。

「どれ?あ~ええなぁ。アリスにつけたろか~」
とアントーニョが言いだしたらもう止まらない。

「いや、単に可愛い形だなって思っただけで、自分でつけたいわけじゃっ」

「ええやん、取ったるわ~。
せや、カオルにも言ったろ~。うまくすればあの特攻馬鹿殴れるやん」

焦って否定するアーサーの言葉など、きくアントーニョではない。

もう出場するだけでなく、優勝する気満々だ。


というわけで、アーサーの願いを叶える…もとい、自分の欲望を満たすためにアントーニョの参加決定…そして、それに引きずられるように何故かカオルもエントリー。

いわく
姫様の奴隷としてはもうやるっきゃないっしょ(>_<)b』

で、当のアーサーはそれでもなんとなくイベントには参加してみたいらしく、アリスでヒールボランティアに応募してたりする。

これは試合前と試合後、HPの減った選手に回復魔法をかけるという役。

システム的に全快とかも当然できるのだが、このあたりがユーザー参加型のこだわりらしい。

で、1対1の戦闘にも回復にも向かないギルベルトとフランは観客席でまったり観戦する事にした。

なんのかんので結構な人数が参加してるらしいこのイベント。
予選が終わって本戦出場の8名が決まる頃には22時になっている。

一番レベルの高い16以上のコースの本戦にベルセルクのアントーニョはともかくとして打たれ弱いウィザードのカオルまで残っている。


「ね、ウィザードであれってすごくない?」
フランが隣にいるギルベルトに言うと、ギルベルトもうんうんとうなづいた。

「ていうか、8名の中で2名が5人しかいないうちのギルドっていうのがすげえよな。」
あ~それもそうだよねぇと、しみじみうなづくフラン。

これで…優勝準優勝とかだったらすごいなぁと思う。

本戦のくじ引き開始。
カオルは第一戦目だ。

名前を呼ばれてピョン!と壇上にチビキャラのカオルが飛び乗ると、
「カオル君、頑張って~!!」
と歓声が上がる。

どうやらチビっこ魔導師がごつい前衛に混じって戦う図が、一部の子達に大受けだったらしい。

カオルは壇上でピョンピョン飛びながら観客席に向かって手を振る。

続いて他も呼ばれて壇上へ。

トーニョが壇上に上がるとまた黄色い声。

さらに…そのあと、なんだか聞き覚えのある名前が…
トーニョより一際大きい黄色い声に送られて壇上に上がるその姿は…

「う~ん…誰だっけ??あの人見た事ある気が…」
うなるフランにギルベルトが聞く。

「エドァルド?」
「うん」
「フラン、お前覚えてないのか?ほら、最初に俺らがパーティ組んだガーディアン」
「ああ~~あの人かっ」

思い出したよっ!トーニョがキレた人ね、と、フランは納得。

真っ白な鎧を身にまとって壇上にあがったエドァルドは観客席に向かって丁寧におじぎをした。
それによってまた歓声が上がる。

こうして壇上に上がった本戦勝ち残り組。

それぞれ一言どうぞと言われ、まずカオルから。

壇上中央にうながされて進むと

「姫様~♪頑張るから後で褒めてねっ♪」
と、いきなり舞台端のヒールボランティア席に手を振る。

「お知り合いですか?」
ときく司会におもいっきり体ごとうなづいたあと、

「うちのギルドの姫っす!(^o^)ノ」
と答える。

「うちのギルドは別名”姫様と愉快な従者達”ってことで、今日は姫様にエンジェルウィングを奉納するために参加してまっす(^o^)ノ」
とその後に続けた。

そこでトーニョが後ろからペチコ~ンとカオルの頭をはたいた。

「自分は~!思いっきりうちのギルドに対して歪んだ認識植え付けてどうすんねんっ!」
「いったぁ~、いいじゃん、いいじゃん!ホントの事じゃんっ!」

ぴょんぴょん頭を押さえて飛び跳ねながらトーニョの手から逃げ回るカオルのコミカルな動きに会場がワッと笑いに包まれる。

「お~そう言えばお二人同じギルドですね。
では順番飛ばして先にトーニョさん、何か一言お願いします」
司会は収拾付かなくなる前にと今度はトーニョに振る。

「いつもヘイト考えずに飛ばす特攻野郎を一度殴ってみたかったんで、良い機会ですし頑張りますわ」

とのトーニョの言葉にまた会場から笑い。
カオルと二人そろうと本当に漫才コンビだ。

その後も次々抱負を述べる面々。

そして最後にエドァルド。
名前を呼ばれて中央に進むと、エドァルドもいきなりヒールボランティア席に向かって優雅に一礼。

「ここまで回復をして下さった姫にまず感謝を述べさせて下さい(^^」
というエドァルドの言葉にまた会場から悲鳴。

「エドァルドさんも…お知り合いでしたか?」
と司会に聞かれてエドァルドはにっこり。

「はい。フレンドで…俺もお笑いコンビの二人の方々と同様、姫のためにここにいます」
その言葉に悲鳴とおお~という歓声が同時にわき起こる。

≪この気取った兄ちゃんて…仲良しなわけ?w≫
ギルド会話でカオルがなんとなくとげのある口調で言った。

≪以前うちのパーティに入った事あるヘタレガーディアン…だったんやけど、ここまで来てるってことはあれからちょっとは使える奴になったんやろうな≫

と、トーニョの言葉にも当然なんとなくトゲがある。



≪なんかさ、こいつにだけはなんとなく負けたくないって思ってるの俺だけ?ww≫
≪珍しく気が合うやん。俺もや≫

そこでカオルが沈黙。
一瞬の間の後ポツリとつぶやいた。

≪こいつよりは…トーニョのがいいな≫
≪一緒にせんといてっ!≫
と、トーニョは流してたが、ギルベルトは別の意味でちょっと気になった。

何がトーニョの方がいいのだろうか?
まあそれを追求するまもなく、カオルの第一試合が始まった。

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