オンラインゲーム殺人事件あなざーその4・魔王探偵の事件簿_10

「驚いたねぇ…よもやこんなオチだったとは……」

とりあえずギルベルトの身内だったと言う事もあり、殺人事件には完全に無関係だろうと言う事で、その後、上限4人という人数の関係上、フランを除いた4人でパーティを組んで、エリザにも現状を説明して、周りへの警戒と個人情報の扱いについての注意をうながし、彼女の趣味の話を少しして、今日は早々にログアウトした。

そして上記のフランの第一声。

「ほんっとに悪ぃ!」
と、一応身内だけに謝罪するギルベルト。

「まあ…とりあえず変質者やなくて何よりやったな。」
と、さすがのアントーニョも毒気を抜かれて苦笑するしかない。

一方のアーサーは
「ごめん…俺の自意識過剰で……」
と、真っ赤な顔で俯くが、
「いや、言動自体は十分変質者だからっ。あいつが悪いからっ。普通ひくから、本当にアーサーも悪かった。」
と、それに対してギルベルトはがバッと頭をさげる。

「そこはそうやで?それに今までの変態達の事もあるしな。
アーティ可愛ぇから用心せんと。
少しでも危なくなったら親分の名前出して、親分のとこに逃げてくるんやで?」
と、アントーニョも重ねて言うと、アーサーの頭にちゅっと軽いリップ音をたててキスをした。

そして続ける。

「とりあえずな、アーティは今日はおやすみなさいや。
親分も一緒に寝るわ。
で、ギルちゃんはゲーム内に戻ってエドガーに連絡。
向こうから情報引き出す代わりに、オスカーが身内やったから犯人と無関係やって事だけ話したり?
消去法で犯人に近づけるやろうしな。」
「了解。フランはどうする?」
「あ~、お兄さん?お兄さんもたまにはゲーム以外の事したいかな。」
「おー。じゃあ俺だけ戻るわ。」

そんなやり取り後、3人は寮長室から去り、ギルベルトは残って再度ログインした。




そしてアントーニョの部屋に戻る二人。
すぐ眠れるようにと元々パジャマの上にガウンを羽織っての寮長室行きだったので、寝室に戻ってガウンを椅子にかけると、即、大の男3人くらいは余裕で眠れそうなキングサイズのベッドにもぐりこむ。

急遽寮に転がり込んでしまったため、一応アーサーの部屋として用意してくれていた部屋にはまだ家具がない。
なので、昨日はアーサーはリビングのソファで寝ようと思ったのだが、広いベッドだし一緒に寝ればいいと強く言われて、一緒に寝たので、今日も同じだ。

今まで親とも一緒に寝るという事なく、触れられる事といったら電車の痴漢くらいで、それがひどく気持ち悪かったので、自分は他人との接触が苦手なのだと思っていたが、アントーニョ相手だとひと肌がとても心地よい。

これまでハグされるのも気持ち良かったが、ベッドで抱き枕のように抱え込まれてその心音を聞きながら眠る安心感と言ったら、本当にくせになりそうだ。

――アーティはええ子やな。ゆっくりお休み。

などと眠るまでずっと囁かれる優しい言葉。
トン、トン、と、ゆっくり背中を叩く手の感触。
まるで小さな子どもにするようだが、実際に小さかった頃には与えられなかったぬくもり。

朝、目を覚ますと端正な寝顔がすぐ側にあって、そんな夜の穏やかさが嘘のように高鳴る心臓には困りはするのだが…。

こんなに優しく慈しみ深く接してくれるアントーニョなのに、何故か身体の奥にかすかに灯る熱を少しもてあましてしまう自分は、もしかしたら変態なのかもしれない…と、アーサーは明日の朝もそうだったらどうしようかと、少し怖くなる。

それでもこのぬくもりから離れるという選択肢はすでに考えられないのだが……。

こうして今日もアントーニョの優しいぬくもりの中でアーサーはいつのまにか眠りにつく。
その後…熱を煽られるような事になっているとは想像もしないままに……。


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