秘密のランチな関係前編_9

正直、プロイセンも今の状況を楽しんでいる。

あの初めてイギリスが泣いているのを見た日、自宅に連れて帰って一緒に食材の下準備をしたあと、一緒に作った食事を摂りながらイギリスの話を聞いてやった。

若干酒が入った勢いで聞き出せた本音は要約するなら1人で寂しいということだった。

そんな中で、プロイセンが普通に親しく接してくれるのが嬉しいと言われれば、当然突き放すことなどできるわけもない。
なんのかんの言って実は本人が知らないだけで色々な国々がその特別の座を狙っている相手がこんな可愛らしい部分を晒してくれば、ほだされる。

涙目のイギリスに飾り切りしたウサギやヒマワリのウィンナーを出してやれば、クルンと丸く大きな目がさらに丸く見開かれ、次に涙の残る目をキラキラさせてホワンと笑った笑顔にやられたのだと思う。

「なんだっこれっ!プロイセン、天才か?プロかっ?!」

あの普段すました皮肉やなイギリスと同一人物とはとても思えない子どものような反応に、

「あ~、別に簡単だぜ?
なんなら明日のランチに飾り切りのバリエーションで弁当でも作ってやろうか?」
と言ってやれば、イギリスはまたピタっと固まる。

今日会議室で会ってから何度となくあった反応。
プロイセンもなんとなくわかってきた。

極々普通の好意を向けられていないイギリスは、普通に好意を向けられると動揺して固まってしまうようだ。

もちろんそれは嫌だからというわけではなく、そのまま待っていると少し動揺して頬を赤くしながら、はにかんだ笑みを浮かべるのだ。

「でも…迷惑じゃ?」
と、ちらりと大きな目で上目遣いにこちらを伺うが、その顔は期待に満ちている。

「かまわねえよ。
一人分作るのも二人分作るのも変わらねえし、飾り切りも慣れてっからな。
てか、俺達の間で変な遠慮してんじゃねえぞ。」
と言ってやれば、

「じゃあ頼むっ」
と、満面の笑みを浮かべた。


このところ手塩にかけて育てて来た弟も大きくなってしまって久しかったので、誰かの面倒を見るということもなくて楽は楽だったのだが、なんとなく物足りなく感じていた。

そこに降って湧いたように可愛らしい相手が構ってくれと言うのだ。

――ま、構い倒してやろうじゃねえか。

と、心の中で不敵に笑って、プロイセンは脳内で一人のスケジュールからもう一人加わった場合のスケジュールを組み立てなおした。



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ウィンナーの飾り切りVerうさ


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