青い大地の果てにあるものGA_13_33_過去から来るモノ3

とりあえず基地攻めは鉄線が場所を特定後ということで、それまでどうするかと話し合っているところに、──菊様…ご報告が…──と、鉄線の1人が気配もなく現れて、菊の前にひざまずいた。

「…少し失礼いたします」
と、その場で小声で報告を受ける菊。

話を聞くその顔が険しくなるのに、ギルベルトは

「何か悪い知らせか?」
と、眉を寄せる。

それに対して報告を受け終わった菊は報告に来たその部下を下がらせて、今度は自分がギルベルトの前に跪いた。


「はい。たった今入った情報によりますと、ほんの数時間前、ブルーアースの元極東支部の人間の避難先の一つが、お館様の敵であるレッドムーンに襲撃され、壊滅したようです」

「まじか……」

ざわりとざわめく面々。

青くなるフランソワーズ、険しい顔になるエリザ、表情を変えないアーサー。
そんな中で顎に手をあてたまま考え込むギルベルトの代わりに、アーサーが言う。

「壊滅ということは…ブレイン班の一つか?
なら雨風に晒されて破損しないうちに、回収出来る限りの資料を回収した方が良い」

その言葉にギルベルトは気遣わしげな表情を恋人に向けるが、当のアーサーは淡々としたものだ。

「嘆いて状況が好転するなら嘆けば良いが、そういうわけでもないし、少しでもまだ生きてる人間のために出来る事をやっていかないとな」
と、肩をすくめる。

ああ、そうだ。
極東支部組は悲しいほど感情をコントロールする事に長けたジャスティス達だった…

自分達が悲しめば悲しむほど、動揺すればするほど、必要な事をさせるために彼らは自身の感情を後回しにせざるを得ない。

それを思い出して、ギルベルトは息を吐きだして、先に進む決意をした。

「どの程度のものが破損せずに残っているか、早急に調べて、残っているものは回収しろ」
と、菊に命じるが、そこでもアーサーのストップがかかった。

「基地の位置が把握できるまでする事もないし、俺達もいった方がいいだろ。
万が一まだレッドムーンがうろちょろしてて、その中にイヴィルでも混じってたら、貴重な戦力が減らされることになるし?」

と、その言葉にギルベルトは何か言いたげに口を開いたが、結局アーサーに言葉を返すことはせず、菊を振りかえると

「…ってことだ。
俺とエリザはあたりを警戒。
鉄線は研究者のフランソワーズを護衛するタマについてその指示に従って行動しろ。
菊も全体の統括をしながら、タマ達の護衛だ。いいな?」

「承知しました」
と、菊が請け負ったことで、壊滅した避難所の調査を実行することが決定した。






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