会議数日前
エイプリル・フールの嘘と真の曖昧さにのせて告白をしてみたらどうか…と日本に言われてなんのかんの乗せられて頷いてしまった数日後…4月始めに世界会議がある。
場所はフランスで、元々はイギリスはその会議に合わせて一緒にお花見をしたあとにフランスに同行できれば…と日本に誘われて日本入りをしたのだ。
――ぜひイギリスさんと一緒に花見を楽しみたいというのもあるんですが…実は“お友達”のイギリスさんにぜひお願いがあるのです。
と言われれば、断る理由もない。
なにせ日本は大事な“友達”なのだ。
着いて2日ほどゆっくりしたあと、日本が取り出してきたのは資料の写真と紙とペン。
――恥ずかしながら…私は趣味で絵を描いているのですが、西洋の景色などを描くのが苦手で…。
と、特定の角度で特定の場所に写真の用な感じのイメージの景色を描いて欲しいとのことだ。
――アメリカさんとかにお願いしたら個性的なデフォルメをされてしまいまして…そこでフランスさんにお願いしてみたら、風景より人物が描きたいと…。でも描いていただきたいのは風景なのですと申しましたら、イギリスさんなら大変絵がお上手とおっしゃられて…
こんな図々しいお願い…ダメでしょうか？
と、困ったような顔で言われれば断れるはずもない。
というか…そのくらい“友達”だしなっ。
と、イギリスは気持ちよく引き受けた。
幸い絵は得意だ。
言われるままスラスラ描いて行けば、――さすがイギリスさんっ！と目をキラキラ輝かせる日本。
描き上がったものから、スキャニングして取り込んだ画像に日本がパソコンで色々描き込んでいるようだ。
――日本、何をやってるんだ？
と、絵を描く合間に尋ねれば、日本はにこやかに、
――イギリスさんに描いて頂いた背景に私が人間とかを描き足しているんです。友人同士の共同作業…楽しいですねっ。
と、PCの画面をクリックしつつ、ノートPCをイギリスに見える角度に向けてくれる。
見られては困る部分はレイヤー分けして非表示にしているなどとは当然知らないイギリスの目には、自分が描いた風景の中に日本が描いた人波が加わった絵だけが見えている。
――ああっ、楽しいなっ！
――ええ、楽しいですねっ！
二人で描いた絵…友達との共同作業だ。
にこやかに微笑み合う二人。
――やっぱりイギリスさんにお願いして正解でしたっ。ここまで私が描いて頂きたいイメージを汲んで頂く事ができるなんて…やっぱりお友達だと違いますねぇ。
ほぉっと感嘆の溜息をつく日本に、イギリスは時間も忘れて絵に没頭した。
それこそが…日本の一石二鳥を狙った計画の一部とも気づかないままに……。
こうして１日ほぼ休みなく絵を書き続けたあとに、イギリスは日本と二人、またヨーロッパ入りしたのだった。
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