オンラインゲーム殺人事件_ユート_4章

ネットは意外に怖いらしい (4日目)


もう仲間も出来た事だし急ぐ事もない。
俺は今まで通りのペースで20時過ぎにのんびりとインした。



昨日コウに聞いたんだけど、みんな復活ポイントがある街中の中央の噴水広場あたりでログイン&ログアウトしてんのね。
どうりで今まで誰にも会わないわけだよ。
仲間が出来た今、ほんとに今更なんだけどね。

コウは本当に几帳面らしく俺がインした時にはすでにインしてて、変なとこで真面目なアオイも同じく早い。
俺もインすると即コウからパーティーの誘いがきたんで入る。
コウは例によってお説教の最中だったらしく、パーティー入った瞬間俺の耳にまず入ってきた言葉は、アオイの
「ん…わかった。気をつける」
という声。
コウはそれに対して
「わかればよし」
と返す。
それから二人して俺と挨拶交わす。

ま、それが済むと気になる事は気になるんで
「なんの話してたん?」
と聞いてみると、コウがチラリとすぐ側で通常会話垂れ流してるゴッドセイバーっつ~厨二病ぽい奴の方をむいて言った。
「そこで通常会話でリアル情報垂れ流してる馬鹿がいて、アオイが同じ事しようとしてたんで注意してた。まあお前はわかってるとは思うが…誰が聞いてるともわかんないところでリアル情報垂れ流すなんて、悪用して下さいって言ってるようなもんだからな。絶対にやるなよ」
あ~、なるほどね。
ネット内だとリアル女とか言うだけで粘着始まったり、住所なんて割れた日にはリアルストーカーだしな。まあ俺は男だから実害そんなにないとは思うんだけど、確かにネットで揉めてリアルで刺されるとか嫌だしな。
「はいはい、その辺はさすがに俺でもわかってるよ」
と、実は全然考えてなかったんだけどそう返しておく。
そのうちお姫さんもインしてきて同じ注意されたけど、聞いてない方に1億円て感じだな。

ま、そんな感じでお説教終わってさあ経験値稼ぎに…ってなった時、コウがいきなり商店街の方へと歩き出した。
「コウ~、そっち反対。外は向こうだよ」
て、アオイさん、君がわかってる事は当然コウだってわかってるって…と思ってたらやっぱりコウは
「反対じゃない。こっちで正解。お前ら初期装備で俺についてくるつもりか、装備買え」
と言って防具屋に入って行く。
なるほど…。

「お金…ないんだけど…」
まあ…パーティーすら知らずにただペチペチ敵を叩いてたわけだから当然と言えば当然のアオイの言葉。
お姫さんもうんうんとうなづいた。
俺は…一応レベル相応の装備はしてるんだけど…。
そんな二人にコウはあっさり
「今回はしかたないから買ってやる。紙装備でうろちょろされても迷惑だからな。これからはちゃんと金策もしろよ。」
買ってやるって…普通にLv上げしててようやく次の装備買えるくらいの金しか貯まんないんだけど、俺。
いくら自分よりはLv低いったって二人分の装備?
どうやって貯めてんだよ、こいつ。

俺はチラリと今の所持金を見る。
22銀…。
一人分の防具がだいたい40銀くらい?二人分で80銀。全然足りねえ。

でもさすがに俺もスルーしてちゃだめ?とか思ってコウにウィス。
(あのさ…俺一応今22銀くらいなら出せるけど…出そうか?)
まあ若干情けない金額ではあるけど、スルーよりはマシ?と思って聞いてみたけどコウはきっぱり
(ん~、まあ200銀くらいはあるから大丈夫だ。)
うあ~すげ~。

(やっぱさ…ジョブ差?稼げるのって)
もうプライドとか言ってる場合じゃない。思わず俺が聞くと、それに対してコウは
(いや、たぶん狩ってる敵とLv差じゃないか?必要な金額がLvによって違ってくるしな。俺はLv12くらいで次の装備に買い替えるのに200弱かかるから貯めてたんだが…。)
(うあ…そんなにするん?てかそれ使っちゃって次の装備どうするんだよ?)
(まあLv下のメンバーに合わせてたら自分のLv上がんのなんて当分先だし、その頃までには必要な額貯まるから平気。)

その後俺が聞くと、コウは隠す事もなくあっさり金策に良い敵とか効率のいい金策なんかも教えてくれた。
雑貨屋で高額で売れる素材落とす敵だけじゃなくて、雑貨屋で売っても二束三文のアイテムでも合成屋で合成してもらうと高額装備や高額素材に早変わりなんてのもあって、目から鱗。
つか、よくこんなすごい情報一人で集めたよな、こいつ。
一人で全然平気じゃん。

つ~か…こいつ何者?
なんで俺達といるん?
もうメリットないどころじゃない。デメリットありまくりじゃね?
頭いいんだか悪いんだかマジわかんね。

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